【登辞林】(登記関連用語集)


[ほ]

保全管理人 (1)民事再生手続開始の申立てがあった場合において、再生手続開始の決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる裁判所の処分(保全管理命令)において選任された管理人。保全管理命令が発せられたときは、再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権利は、保全管理人に専属するが、保全管理人が再生債務者の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない(民事再生法81条1項)。この許可を得ないでした行為は、無効とされるが、善意の第三者には対抗することができない(民事再生法81条2項)。
(2)会社更生手続開始の申立てがあった場合において、更生手続開始の決定があるまでの間、会社の業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる裁判所の処分(保全管理命令)において選任された管理人。保全管理命令が発せられたときは、会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利は、保全管理人に専属するが、保全管理人が会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない(会社更生法32条2項)。この許可を得ないでした行為は、無効とされるが、善意の第三者には対抗することができない(会社更生法32条2項)。

保全管理命令 (1)民事再生手続開始の申立てがあった場合において、法人である再生債務者の財産の管理又は処分が失当であるとき等、特に必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる裁判所の処分(民事再生法79条1項)。裁判所は、保全管理命令において、一人又は数人の保全管理人を選任しなければならない(民事再生法79条2項)。
(2)会社更生手続開始の申立てがあった場合において、更生手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、会社の業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる裁判所の処分(会社更生法30条1項)。裁判所は、保全管理命令において、一人又は数人の保全管理人を選任しなければならない(会社更生法30条2項)。

保存行為 建物の修繕や、債権の消滅時効の中断のように、目的たる物や権利の現状を維持する行為。民法103条(権限の定めのない代理人の権限)、252条(共有物の管理)参照。

墓地 不動産登記規則99条に規定されるの土地の地目のひとつで、人の遺体又は遺骨を埋葬する土地を指す(不動産登記事務取扱手続準則68条)。墓地に関する登記の登録免許税は、非課税となる。(登録免許税法5条10号)

北海道東北開発公庫 東京都千代田区大手町一丁目9番3号。昭和31年6月8日設立。平成11年10月1日、日本政策投資銀行法(平成11年6月11日法律第73号)の規定に基づき、日本政策投資銀行の成立時に解散。

没取供託 法律に定める制度の濫用を防ぐため、一定の事由が生じた場合に、供託者の供託物に対する所有権を、国庫等へ帰属させる供託。選挙立候補者が一定の得票数に達しない場合や、途中で立候補を辞退した場合に供託金が没取される「選挙供託」(公職選挙法(昭和25年4月15日法律第100号)92条)や、公正取引委員会の審決又は裁判所の緊急停止命令の執行の免除のための供託(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律70条の6、1項、70条の14)がある。会社法の施行に伴い廃止された商号の仮登記の制度においては、一定の金額を供託すべきものとされていた(商号の仮登記に関する供託金の額を定める政令(昭和39年3月30日政令第52号)、平成18年5月1日廃止)が、この供託も没取供託である。

ほふり (株)証券保管振替機構の略称、愛称。

保留地 換地計画において、土地区画整理事業の施行費用に充てるため、又は、規準、規約若しくは定款で定める目的のために、換地として定めないで保留された一定の土地(土地区画整理法(昭和29年5月20日法律第119号)96条1項、2項)。換地処分公告があった日の翌日において、施行者が取得する(土地区画整理法104条11項)。

ポンカス 価値のある部分を除いた残りで、価値の無いもの、価値の低いもの。もともとは麻雀用語で、役に立たないもの、役に立ちにくいものの意味。麻雀は、「牌」を3枚1組で集め、その組み合わせで「役」を作るゲームで、「牌」は1種類につき、4枚づつあるのだが、4枚のうち、3枚を使用(ポン)してしまうと、残り1枚の利用価値は、極端に下がってしまう。不良債権のバルクセールでは、価値の低い債権を「ポンカス(債権)」といい、分離型新株引受権付社債ワラント債)の社債部分(エクスワラント)を俗に「ポンカス(債)」と言う。

本店 (1)会社の他、商人の営業活動の本拠となる店舗、場所、組織。全ての支店を統括する店。会社以外の法人にあっては、「主たる事務所」がこれに相当する。日本の会社法に基づき設立される会社の本店を外国に置くことはできない。
株式会社は、定款をその本店及び支店に備え置かなければならない(会社法31条1項)。株式会社は、株主名簿管理人がある場合を除き、株主名簿をその本店に備え置かなければならない(会社法125条)。株式会社は、株主総会の日から10年間、株主総会議事録をその本店に備え置かなければならない(会社法318条1項、2項)。 取締役会設置会社は、取締役会の日から10年間、取締役会議事録等をその本店に備え置かなければならない(会社法371条1項、369条3項)。監査役会設置会社は、監査役会の日から10年間、監査役会の議事録をその本店に備え置かなければならない(会社法394条1項、393条2項)。委員会設置会社は、委員会の日から10年間、委員会の議事録をその本店に備え置かなければならない(会社法413条1項、412条3項)。株式会社は、計算書類等を、一定の期間、その本店に備え置かなければならない(会社法442条)。
(2)会社の本店の住所。会社の本店の具体的な所在。「本店の所在場所」(会社法911条3項3号)のこと。「東京都千代田区九段南一丁目1番15号」等。

本店の所在地 会社の所在する地区、区域。定款の絶対的記載事項であるが(会社法27条3号、576条1項3号)、定款には、「○○県○○市」(東京都の特別区にあっては、「東京都○○区」)等、最小行政区画まで記載すれば足り、それ以下の具体的町名・地番等は記載することを要しない。
会社の住所は、その本店の所在地にあるものとする(会社法4条)。株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、会社法911条1項、2項に定める一定の日から2週間以内にしなければならない(会社法911条1項、2項)。会社において登記事項に変更が生じたときは、一定の場合を除き、2週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない(会社法915条1項〜3項)。
旧商法においては、株主総会の招集地は、本店の所在地又はその隣接地と規定されていた(旧商法233条)していたが、会社法施行に伴い廃止された。

本店の所在場所 会社の本店の具体的な所在場所(会社法911条3項3号)。「東京都千代田区九段南一丁目1番15号」等。商業登記においては、単に「本店」と表記され、不動産登記における登記名義人が会社である場合の本店の変更登記においても、「本店」と表記される。
既に登記がされた商号とその商号にかかる本店の所在場所が同一である会社の商号の登記は、することができない(商業登記法27条)。

本人確認情報

本人限定受取郵便 郵便物に記載された名宛人1人又は差出人の指定した代人1人に限って郵便物を渡す郵便事業(株)のサービス。郵便窓口に受け取りに行く「基本型」と、配達もしくは郵便窓口での受け取りを選択できる「特殊型」の2種類がある。郵便事業所が差出人から郵便物を引き受けた後、受取人へは郵便事業所から通知書が送付され、特殊型の場合はさらに電話にて連絡される。受け取る場合は到達通知書、印鑑(サインでも可)の他、受取人の本人確認書類が必要となる。本人確認書類は、1.旅券運転免許証、宅地建物取引主任者証、写真付住民基本台帳カード外国人登録証明書等の写真付公的証明書の場合は1点、2.健康保険・国民健康保険の被保険者証、年金手帳等、写真の付いていない公的証明書、又は、写真付学生証、写真付職員証等の場合は2点が必要となるが、特殊型の場合の本人確認書類は1の写真付公的証明書のみが認められている。一般書留郵便として差し出す必要がある。

1 2 3 4 5

このページのトップへ

Copyright (c) 2008 Global Legal Office All Rights Reserved